「性行為強要」虚偽と認定 社内不倫の女性に賠償命令

ニュース内容

不倫関係にあった元部下の女性が「性行為を強要された」と虚偽申告をしたために、夫が日産自動車を懲戒解雇されたとして、妻が女性に計1000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は23日、申告は虚偽だったと認定し、不倫の慰謝料と合わせて120万円の支払いを命じた。

磯崎優裁判官は、女性が強要されたとする行為の後も、2人で観光に出掛けるなどしていることから「好意的な感情を抱いていたと考えるのが自然で、自由な意思に基づく交際関係と推認できる」と指摘した。

一方、妻は間接的な被害にとどまるとし、虚偽申告の慰謝料は40万円が相当だとした。

判決によると、女性は平成28年1月、日産に被害を申告し、夫は2月、懲戒解雇処分になった。夫は日産に雇用継続を求めて提訴し、横浜地裁は30年3月に解雇無効の判決を出した。東京高裁が日産の控訴を退けて確定し、夫は復職した。

2020.6.23 22:38 産経新聞

弁護士からのコメント

今回のニュースは、不倫関係にあった元部下の女性が「性行為を強要された」と虚偽申告をしたために、夫が懲戒解雇されたとして、妻が女性に計1000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、申告は虚偽だったと認定し、不倫の慰謝料と合わせて120万円の支払いを命じたというものです。

そして今回においては、判決文自体を見てはいないので推測とはなりますが、法的観点から詳細に解説したいと思います。

まず「性行為強要」とありますが、これが本当であったならば法律的にみると強制性交罪(刑法177条)、昔でいう強姦罪に該当する行為で、5年以上の有期懲役に処せられる重大犯罪です。

しかしながら、今回の判決においては「性行為強要」があったとの会社への申告は虚偽、すなわち性行為は合意のもとに行われたであろうと認定されています。

その認定にいたる事情の1つとしては、性行為強要があったとする以降に二人で観光に出かけていることが挙げられています。
もし強制性交罪にもあたりうる性行為強要があったとするならば、その後に一緒に観光に出かけるような行動を起こすことは通常考えられず、それゆえ性行為強要はなく、いわゆる不倫関係(不貞関係)は良好に継続していたであろうとの判断でしょう。

一方、妻は間接的な被害にとどまるとし、虚偽申告の慰謝料は40万円が相当だと判示されています。

「間接的な被害」というのは、あくまで虚偽申告により直接的な被害を受けたのは懲戒解雇処分となった夫ということだからでしょう。
間接的な被害の内容としては、虚偽申告により夫が不倫(不貞)だけにとどまらず、性行為強要という犯罪にも該当しうる行為を行った人間であると思わせかねない精神的苦痛や、解雇無効判決が確定し復職したといえども、夫が懲戒解雇処分となった精神的負担などを考慮したものと推測されます。

なお今回のニュースでは不明ですが、夫が当該女性に対し虚偽申告の慰謝料を請求していれば、直接の被害者であることから妻より高額の金額が判示される可能性もあると思われます。

そして不倫(不貞)においては、今回のニュースにある虚偽申告のように不倫(不貞)以外の事情でも損害を被った場合には、当該損害についてもあわせて請求することが可能です。

たとえば不倫(不貞)相手から脅迫を受けたり誹謗中傷がなされた場合には、その損害についても賠償請求ができる可能性があります。

最後に不倫(不貞)でお悩み・お困りの方は、遠慮なく当事務所にご相談ください。

Bio

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。
男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。