性被害から少女ら守れ 県警、SNSに直接返信で警告

ニュース内容

安易な投稿、つけ込む大人
会員制交流サイト(SNS)でのやりとりを通じて性犯罪被害に巻き込まれる18歳未満の少女らが後を絶たない。小遣い稼ぎ感覚の安易な書き込みが大人を刺激し、双方に罪の意識が薄いまま性的関係に至る構図だ。神奈川県警はSNS上のこうした書き込みに目を光らせ、直接返信で警告する取り組みを本格化させている。

「一緒にお茶できるパパさん探してます。DM(ダイレクトメッセージ)お気軽に」。昨秋に県警のサイバーパトロールで発見されたツイッター上の投稿。書き込んだのは高校2年の少女とみられ、自身の身長や髪形なども記し「食事、買い物、映画などリクエストあればお聞きします。1時間5千円、交通費2千円。食事代はパパさん負担で」と誘い掛けていた。

食事やデートの対価として男性側に金銭を求める「パパ活」と呼ばれる書き込み。少女にとっては「性行為は約束外」との認識でも、「男性と接触すれば、意に反して性行為を強いられることも少なくない」(捜査関係者)という危険性をはらんでいる。

少女とみられる投稿者に対し、県警少年育成課は「このツイートは児童買春などの被害につながるおそれがあります。見ず知らずの相手と会うことは重大な事件に巻き込まれるおそれがある大変危険な行為です」と即座に返信、注意喚起した。

直接返信の取り組みは2018年に愛知県警が開始し、神奈川県警も19年9月から始めた。県内で性被害を誘発したり、有償で誘いに応じたりする書き込みを対象とし、援助交際などを求めて加害者となり得る大人側にも「人権を著しく侵害する極めて悪質な行為」などと直接返信して警告、自制を求めている。

少年育成課によると、これまでに約240件の直接返信を実施。多くは投稿を自主的に削除するか、アカウントが凍結されて見られなくなるなどしたという。

警察庁の統計では、19年にSNSを通じて犯罪被害に遭った18歳未満は全国で過去最多の2095人(暫定値)。県警の集計でも18年は200人で、10年前のほぼ3倍に達した。同課は「顔の見えないSNS上では、子どもたちの警戒のハードルは低く、つけ込む大人の存在に気付かないこともある。犯罪の芽を摘むため、双方への直接返信を地道に続けていく」と話す。

神奈川新聞  2020年02月23日 20:30

弁護士からのコメント

今回のニュースは、神奈川県警がSNS上の書き込みに目を光らせ、直接返信で警告する取り組みを本格化させているというものです。

以前にも、警察の同様の取り組みに対して下記コメントしておりますので、よければご参照ください。

近年、Wi-Fi環境やスマホ、アプリなどインターネットにまつわるものが飛躍的に発達したことにより、誰もが気軽にインターネットにアクセスし情報を入手したり、SNSをはじめ情報を発信できる時代になりました。

それに伴い、今までになかったかたちで犯罪が行われたり、トラブルに巻き込まれるケースが出てきています。

今回のパパ活募集のツイートに関していえば、そもそも「パパ活」という言葉自体は若い成人女性が年の離れた成人男性と食事やデート等をともに行うことに対して報酬を受け取るという大人を対象としたものでした。

それがいわば援助交際の隠れ蓑として、未成年者の中で「パパ活」(「P活」や「兄活」等もあり)との言葉で用いられています。

ニュースにもあるとおり、パパ活を募集した投稿者からすれば投稿内容の行為しか行わないと思っていても、実際に会う相手方が投稿内容の約束を守る保証はどこにもありません。

実際弊所でも、パパ活をはじめSNSやマッチングアプリ等で出会った相手方から、約束と異なり性犯罪の被害を受けたとのほか、脅迫被害・恐喝被害を受けたとする内容の相談が毎日あるほどです。

ですのでパパ活はもちろんのこと、そうでなくても見ず知らずの相手方に会うということは、様々な犯罪に巻き込まれるリスクがある危険な行為と認識し、安易に会わないようにすべきです。

最後にパパ活でトラブルに遭った際には、遠慮なく当事務所にご相談ください。

Bio

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。
男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。